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2008年10月18日  石川武志写真展「HIJRAS」を見に行く [現代の性(性別越境・性別移行)]

2008年10月18日  石川武志写真展「HIJRAS」を見に行く

10月18日(土) 晴れ 東京 21.2度 湿度 38%(15時)

11時、起床。
朝食は、アップルデニッシュとコーヒー。
髪染め(部分)。
シャワーを浴びて髪を洗う。
よくブローして、あんこを入れたポニーテールにまとめる。
「日記(17日分)」を書く。

14時、化粧と身支度。
黒地に茶色と白の花柄の長めのチュニック(7分袖)、黒のスパッツ(5分)、黒網膝下ストッキング、黒のサンダル、黒のトートバッグ。

15時、家を出る。
東急目黒線で目黒に出て、JR山手線で有楽町駅へ。
南口の「有楽町電気ビル」北棟20階の「日本外国特派員協会」で開催中の石川武志写真展「HIJRAS The Third Gender of India」を見に行く。

会場がわからなくて、受付のお姉さんに尋ねると、バーラウンジの中とのこと。
ラウンジに入っていくと、カウンター席に石川武志さんがいらしたのでご挨拶。

名著『ヒジュラ インド第三の性』(青弓社 1995年10月)の著者である写真家石川武志さんと私とは、1997年12月に行われた石井達朗先生(慶應義塾大学教授)を中心とする座談会「ヒジュラに学べ!-トランス社会の倫理と論理-」でご一緒して以来のお付きあい。
でも、お会いするのは、ずいぶん久しぶり。

(注)この座談会は『ユリイカ』1998年2月号(青土社)に掲載され、後に、石井達朗著『異装のセクシュアリティ(新版)』 2003年3月 新宿書房 に収録。

広いラウンジの壁面に20点ほどのヒジュラの写真が展示されている。
石川さんに説明していただきながら、1点ずつ見てまわる。
どれも、ヒジュラの伝統的な習俗とその現状を伝える迫力に満ちたものばかり。

ヒジュラは、元々、シヴァの神に仕える両性具有者を名乗る人々で、ヒンドゥー教を信仰するインドの人々の誕生・結婚・出産などの儀礼に深くかかわってきた宗教・芸能集団。

そのあり様は、かって世界各地に広範に存在し、特有の社会的役割をになってきたサード・ジェンダーの姿を現在に伝えるものとして、文化人類学、性社会史的に注目されている。

石川さんは、1982年からヒジュラの取材を続け、その回数はなんと60回に及ぶ。
排他的なヒジュラ集団の奥深くまで入りこんで撮影するのは、ヒジュラの人々の信頼を得ないとできる仕事ではない。
そうして撮影された写真の数々は、失われゆくヒジュラ文化の記録としても、学術資料としても、たいへん価値がある。

中でも印象的だったのは、カルカッタの街で撮影された1枚。
祭礼の日、1人のヒジュラの足元に数人の女性が五体投地している。
女性たちはヒジュラの足で衣を踏まれることによって、豊饒(子孫繁栄)を授かろうとしている。

日ごろ、賤視されているヒジュラが、祭礼の日に限ってシヴァの神の化身として、人々の崇拝の対象になることを、1枚の写真がしっかり捉えている。

10年前に石川さんの写真を見せていただき、座談会でいろいろ意見を交換した。
そのときに得た示唆は、私が『女装と日本人』(講談社現代新書)で日本の女装史をまとめる際に柱にした「双性原理」という形で結実する。
それが、間違いでないことを改めて感じた。

まだ2週間ほど会期がありますので、インド好きの方、ジェンダー/セクシュアリティに興味がお有りの方は、ぜひ、ご覧になってください。

石川さんの奥様にもご挨拶。
コーヒーを飲みながら、いろいろお話。

ヒジュラを、Indian Transgender と翻訳することの問題。
ヒジュラの人々は、自分たちは、男でも女でもないヒジュラであり、生まれついての両性具有者であると主張する。
しかし、現実には、両性具有者がそんなに存在するはずはなく、ヒジュラのほとんどはMtFのトランスジェンダー(男性から女性へのトランスジェンダー)と考えられる。
しかし、ヒジュラのアイデンティティは両性具有者であり、トランスジェンダーではない。
またヒジュラの文化の根源も両性具有者(双性)であることにある。
それを無視して、外的観察からトランスジェンダーであると解説することが、はたして適切だろうか?と石川さんは言う。

私も基本的に同じ意見だ。
世界各地のサードジェンダーは、西欧的な概念に翻訳・解釈されることによって、固有の形態を失っていった。

例えば、北アメリカ先住民の「ベルターシュ」や、南太平洋タヒチ諸島の「マフ」が、欧米人によってホモセクシュアルと解釈されたことによって、固有のアイデンティティと文化が失われ、ゲイ化してしまったように。
ヒジュラもまた、カルカッタやムンバイ(ボンベイ)など、近代化・西欧化が進んだ大都市では、固有の社会的役割(宗教・芸能的職掌)を失い、単なる女装のセックスワーカーとして、社会的に賤視されている。
それらを考えると、ヒジュラを、Indian Transgender と翻訳することいは躊躇せざるを得ない。

とは言え、学術的に分析する際には、ヒジュラの自己主張だけを記すわけにはいかない。
やはり、ヒジュラについて記述する際には、何がヒジュラのアイデンティティで、何が観察に基づく学術的な解釈なのかを、はっきり分別すべきだろう。

あの座談会から流れた10年の時を忘れるような、とても有益な時間だった。

18時、辞去。
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↑ 石川武志さんと
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↑ 私が好きな1枚
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↑ 踊るヒジュラの手のポーズがちょっと異なる同じ場所・同じ時の写真を『女装と日本人』(329頁)で使わせていただいた。
081018-4.JPG
↑ ヒジュラの写真と日本のヒジュラ


2008年08月17日  週刊プレイボーイの取材 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2008年08月17日  週刊プレイボーイの取材
8月17日(日) 曇りのち雨 東京 25.5度 湿度 89%(15時)

21時、『週刊プレイボーイ』の記者さんから取材の電話。
最近の若者の女装ブームを記事にするそうで(25日発売)、その理由・背景などについて、専門の立場から意見を求められる。

述べたことは、以下の通り。

女装するハードルが、以前に比べてすごく低くなっていること(お気楽女装)。
セクシュアリティ的には「対男性」ではなく「対女性」であること(女装して女性と遊ぶ)。
したがって、従来の女装コミュニティとは別の場で、女装する人が多い。
それに伴い、女性がボーイフレンドの女装行為に協力的・積極的であること(ボーイズ・ラブの影響?)。
平均的に、レベル(きれい度)が高くなっていること(顔・体形の中性化)。

それらをまとめて言えば、「女装のサブ・カルチャー化」ということ。

若者だけでなく、女装コミュニティにおける中年層の女装趣味も回復基調にあるように思う。
女装業界は、1990年代末~2000年代前半の性同一性障害の「大流行」で、人材がドッと流出して、将来が危ぶまれたが、勢いを取り戻しつつあるようだ。

逆に言えば、性同一性障害の「流行」は、今後、下火になるかもしれない。


2008年06月12日 再び「ラスト・フレンズ」考 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2008年06月12日 再び「ラスト・フレンズ」考

6月12日(木) 雨のち曇り 東京 21.8度 湿度 78%(15時)

12時、起床。
久しぶりによく眠って、溜まっていた疲れがとれた感じ。
朝食は、ソーセージパンとコーヒー。

シャワーを浴びて、髪をアップにまとめる。
仲良し姐さんのブログを見て、ちょっと真似してみたけども、髪の長さも量も足りなかった(シクシク)。
まあ、あちらは、夜中に髪がシュルシュル伸びる人だから(笑)

今日は、自宅で静養のつもり。
「日記(11日分)」を書く。
新聞記事(切り抜き)をファイルに整理。
昼食は、ほやの酢醤油漬けと烏賊の塩辛で、ご飯を1膳。

その後、崩れそうになっている週刊誌の山を整理。
ああ、重いもの運ぶと、腰が痛い(老化)。
古いものから中身をチェックして、必要な記事を収集。
なかなか進まない。
やっと30冊ほど。

夕食の支度。
冷蔵庫の整理を兼ねて、ビーフストロガノフ(もどき)を作る。
2時間ほど煮込む。

20時、夕食。
ビーフストロガノフ、昨夜の残りの回鍋肉、それに白菜キムチ。
ぜんぜん統一感なし。

洗い物をした後、フジテレビのドラマ「ラスト・フレンズ」を見る。
DV男の似たような手口の罠に何度もはまる美知留(長澤まさみ)って、有り得ないほど学習能力に乏しいと思う。
前回も似たような感想を書いたが、このドラマでは、DVもストーキングも、そして暴行も、犯罪行為という認識が乏しい。
どれひとつ取っても、間違いなく警察沙汰なのに。

また、先週「いったいどう結末をつけるつもりだろう?」と書いたが、実にあっさりテレビドラマらしく、結末がついてしまった。
DV男宗佑(錦戸亮)の自殺という形で・・・・。
あまりのあっけなさに、口あんぐり。
あれだけの執念・執着をみせた男が、こんな簡単に命を断つものだろうか?
まあ、当たり前だけど、ストーリーの都合ということだろう。

それにしても、瑠可(上野樹里)は、最後まで、レズビアン(女性同性愛)と性同一性障害(FtM)だか、よくわからなかった。
父親へのカミングアウトが「男の子を好きになれない」では、どう考えたってレズビアンだろう。
性同一性障害だったら「(自分を)女の子だと思えない」になるはず。
それに対する父親の述懐が「子供の頃から、男の子に混じって元気に遊ぶ子だった」というのもちぐはぐ。
男の子が好きになれない子は、男の子に混じって元気に遊ぶ子なのだろうか?

性同一性障害は性自認の問題(自分が男か、女かということ)、レズビアンは性的指向(男が好きか、女が好きか)の問題。
性自認と性的指向は、基本的に独立の系で連動しない。

それを連動させて、「女が好きだから自分は男なのだ」という論理は間違い。
もし、そうなら、レズビアンは皆、男に転性しないといけなくなる。

このドラマは、どうもそこらへんがごっちゃになっている。

たぶん脚本家が、そこらへんの違いをわかっていないのだろう。

夜中、メールのお返事を書く。
明日の講義の準備。
「日記(12日分)」を書く。
就寝、4時。

(追記)
『ラスト・フレンズ』の脚本家・浅野妙子さんのインタビューを読んだ。
http://www.tokyowrestling.com/articles/2008/06/last_friends_1.html

私がこのドラマに感じていたもどかしさの理由がやっとわかった。
脚本家は、最初から、「FtMとレズビアンの間にグレーゾーン」があるとして、「瑠可をそのゾーンに入れている」のだそうだ。
また「私の中では瑠可はFtMとレズビアンの間なんです」と言い切っている。
つまり、瑠可がレズビアンなのかFtMのGIDなのかよくわからない、という私の見方は、脚本家の意図したものだったということ。
ではなぜ、レズビアンという言葉を使わずに、「性同一性障害」とか「性別違和症候群」という言葉を多用したのか?
それについては、
「今回は性同一性障害という設定が(プロデューサーの意向で)最初に決まっていた」こと、
「ドラマ『3年B 組金八先生』で、上戸彩が性同一性障害を演じてクローズアップされたので、その言葉のほうが日本では認知度が高い」ので、「どっちともはっきりは言えないけれど、まずは「性同一性障害」にしておこう、と考え」たこと。

また、脚本を事前に閲覧したFtMの方に「これってレズビアンじゃん(笑)。レズビアンだと何でいけないの?」というしごく最もな指摘をされたのに対して、
「でもなんかやっぱり一般の人によりアピールするときにはこの言葉が必要だと感じたので、言葉として「性同一性障害」という単語を残したいという意図で」実質、無視したとのこと。

つまり、番組制作上の「ご都合」で、現実の当事者の有り様や深い思慮に基づいたものではないということ。
こんな姿勢では、私のような一般視聴者(非当事者)が違和感をもつだけでなく、FtMGIDの当事者が強い違和感、さらには怒りを持つのは、当然だろう。
それに、ここまで存在を軽視・あいまい化されたレズビアンの人たちは、怒らないのだろうか?

まあ、しょせんはドラマ、と言えばそれまでなのだけど、高視聴率のドラマだからこそ、視聴者の認識に与える影響は大きく、それによって当事者がいろいろな形で社会から作用(誤解、偏見、差別)を受ける。
そこらへんのことを、この脚本家は、ほとんど認識していないようだ。
期待が大きかっただけに、落胆も大きいドラマだった。

2008年06月11日  「改正・性同一性障害者特例法」成立 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2008年06月11日  「改正・性同一性障害者特例法」成立

6月11日(水) 曇り 東京 26.5度 湿度 59%(15時)

8時、起床。
朝食は、アップルパイとコーヒー。

シャワーを浴びて、髪をポニーテールにまとめる。
化粧して、身支度。
黒のVネックのプルオーバー(7分袖)、黒のパンツ、黒のパンプス、黒のトートバッグ。

午前中、講義。

昼ご飯は、学芸大学駅に戻り、昨年末にオープンした西口の「豆金餃子」に行ってみる。
ここは以前、男姿でよくランチ食べにきた「紅虎餃子房」があった場所。
経営(出資)会社(際コーポレーション)が同じなので、内装も大きな変化はない。
鶏棒餃子定食(780円)を注文。
まずまずおいしい。
他にもいろいろ餃子の種類があるみたいなので、餃子が食べたくなったら、ここに来よう。

13時過ぎ、仕事場に戻る。
溜まった新聞を読んで、整理。

14時、派手目のファッションに着替えて、ハイヒール・サンダルの試し履を兼ねて、外出。
まず、郵便局へ。
振込みと、タイから届いた怪しい小包の受け取り。

目黒区立目黒本町図書館へ。
今朝の新聞をチェック。
昨10日の衆議院本会議で成立した「性同一性障害者特例法、改正」の記事を探す。
スポーツ新聞(スポーツニッポン、日刊スポーツ、サンケイスポーツ)には出ていない。
産経新聞にベタ記事があったのでコピー。

家で取っている新聞では、「お母さん、女性になれるね」「性同一性障害 子の成人後、変更可能に」という見出しで、子供がいる当事者の水野淳子さんの顔写真入りで報じている朝日新聞がいちばん扱いが大きい。

毎日新聞は、社会面で、写真なしの細長い5段記事。
読売新聞は、社会面ではなく政治面で囲み記事。
日経新聞は、記事が見つからなかった。

どうも、このニュース、関西方面の新聞の方が扱いが大きかったようだ。

ちなみに改正の骨子は、今まで「子供がいる」場合は、一切、性別変更が認められていなかった(「子なし要件」)のが、「20歳以上の子供がいる」場合のみ、変更が認められるようになった。

したがって、水野さんのように、まだ子供さんが成人に達していない場合は、何年か(彼女の場合は6年)待たなければならない。

今回の改正、当初は「子なし要件」全面削除の流れだった(民主党案、公明党も同意見)。
ところが、「子なし要件」全面削除は子供の福祉に反するという、南野千恵子元法務大臣など自民党議員の反対で、「子なし要件」の部分的緩和にとどまることになった。

たしかに、単純に「子なし要件」を全面削除した場合、専業主婦の妻とまだ学齢期の子供を放り出して、子供の学資貯金を使ってタイでSRS(性別適合手術)を受けてきて、離婚。
「女は低収入だしぃ、女の生活にはいろいろお金がかかるよぉ」と言って、慰謝料も養育費も払わないようなトンデモ父さん(←実話)までも、「救済」(性別変更許可)になってしまい、それもいかがなものかと思う。

しかし、その一方で、水野さんのように、二人のお子さんとちゃんと母子関係を再構築し、社会的にも女性としてしっかり適応している人が、なぜ長期間待たされなければならないのか?
じつに理不尽な話だと思う。

実質的に、母親をしている人の戸籍を、男性のままにしておくほうが、余程、子供の福祉に反すると思うのだが・・・。

性別移行の有り様や、家族との関係は、人さまざまなのは当然のこと。
それを、法律で一律に線引きしてしまうことが、そもそも間違いだと、私はずっと主張してきた。

しかも、法律では、望みの性別での社会適応状況はまったく顧慮されない。
つまり、女性としての生活・社会経験がまったくない男性でも、法律で決められた5つ要件(当人が20歳以上であること、結婚していないこと、20歳未満の子供がいないこと、生殖腺の機能を永続的に欠いていること、外性器の外形が望みの性別のものに近似していること)を満たしていれば、女性の戸籍に変更できるのが実態。

大枠だけを法律で決め、個別事例については、移行後の性別での社会適応の状況を最も重視して、ケースバイケースで家庭裁判所が審査するのが、いちばん望ましいと思うのだが。

バスで渋谷駅に出る。
車中、居眠り。

シブチカで、スパッツ(7・5・3分、各々1)と、黒網(ダブルネット)タイツを購入。

電車で、学芸大学駅に戻り、コーヒー・ブレイク。

17時、仕事場に戻る。
黒子衣装に着替える。

超久しぶりに履いたハイヒール・サンダル、さすがに足裏がちょっと痛いけど、まずまず実用になりそう。
それにしても、たった数センチで、景色が変わったような気がしたな。

18時半、自宅最寄駅前の「ドトール・コーヒー」でパートナーと待ち合わせ。
サンドイッチを半分子して食べた後、買い物をして、一緒に帰る。

19時半、帰宅。

夕食の支度。
今日は、野菜たっぷりに回鍋肉(ホイコーロー)を作る。
後は、作り置きのぜんまいとキムチ類。
私は、好物のホヤの酢醤油漬け。

お風呂に入って、髪を洗う。
夜中、「日記(9日分)」を書く。
就寝、4時。


2008年05月08日 フジテレビ「ラスト・フレンズ」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2008年05月08日 フジテレビ「ラスト・フレンズ」

5月8日(木) 曇り 東京 23.5度 湿度 27%(15時)

6時、目が覚める。
ベッドで、昨夜、読みかけで眠ってしまった、獨協大学の学生さんの感想文を読む(70枚)。
7時半、起床。
朝食は、アップルパイとコーヒー。
シャワーを浴びて、身体と髪を洗い、髪はブローしてポニーテールにまとめる。

「日記(4日分)」を書く。
旅行記なので、いろいろ調べながら書く。
だから、時間がかかる。

昼食は、お豆腐とモロヘイヤのお浸しで、ご飯を軽く1膳。

14時、化粧して身支度。
黒のプルオーバー(5分袖)、黒のコットンパンツ、黒のヒールパンプス、黒のトートバッグ。

15時10分、学芸大学駅西口の歯科医院へ。
左下奥の小臼歯2本と大臼歯1本を連続して充填する金属のはめ込み。
微調整しながら、まずまず違和感少なく納まる。

これでやっと左側上下の治療が完了。
あと、右上に2本、右下に1本、それと右下の親知らずの抜歯。
数えてみると、歯の治療を始めて6ヶ月が過ぎた。

先生(美人)に「もう少しですよ。頑張りましょう」と言われる。

「ドトール・コーヒー」で休憩した後、仕事場に戻る。
衣類(洋服)の整理。
冬物を仕舞い、夏物を出す。

18時過ぎ、帰宅。
夕食は、牛肉とにんにくの芽の炒め物、アスパラときのこのワイン炒め、湯葉と磯のりの味噌汁を作る。
それに、まぐろとほたる烏賊のお刺身。

フジテレビのドラマ「ラスト・フレンズ」を見る。
主人公のひとり瑠可(上野樹里)がメンタルクリニックを受診するシーン、どうやら知人(主治医)の針間克己先生がかかわっているようで、番組最後のテロップに「協力:はりまメンタルクリニック」と出ていた。

それはともかく、相変わらず、レズビアン(女性同性愛)と性同一性障害(FtM)のイメージが不明確。

瑠可の場合、現在までのストーリーでは、幼馴染の女性、美知留(長澤まさみ)への恋愛感情が強く意識されていて、自らの女性としての身体違和感や社会的違和感があまり表面化してないように思う。
私から見ると、性同一性障害というよりもレズビアンの範疇で納まりそうな気がする。

逆に言えば、もし、ドラマの中であっても、このパターンで性同一性障害ということになると、同様のレズビアンがどっとメンタルクリニックを受診するようになり、現在進行中のレズビアンのFtM化にいっそう拍車がかかりそうな気がする。

DV男宗佑(錦戸亮)は、気持ち悪いし、もう最悪。
そんな独占欲と暴力しかない男に、依存してしまう馬鹿女も、見ていて腹が立つ。

それにしても、上野樹里はうまいなぁ。
主演のはずの長澤ますみが霞んでいる。

個人的には、「のだめ」以来のファンの水川あさみが演じている瑠可のルームメイでキャビン・アテンダントのエリが、女の魅力を生かしながら自分らしく生きていて、すてきだなと思う。

お風呂に入って、髪を洗う。

夜中、「日記(5・7日分)」を書く。

就寝、4時半。



2007年09月10日 朝日新聞 「家族:性を超えて」 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2007年09月10日 朝日新聞 「家族:性を超えて」

9月10日(月)
9日の『朝日新聞』朝刊に、友人の土肥いつきさん(45歳)が出てるということなので、昨夜遅く、自宅に戻って、早速探してみた。
たぶん、生活面だろうと思って、新聞の中ほどを探す。
出ていない。
おかしいな、と思いながら、もう一度チェック。
なんと第1社会面(後から2頁目)にデカデカと、しかも、ご夫妻のカラー写真入りで載っていて、びっくり。

「家族 性を超えて」という3回シリーズの第1回で「私の謙一郎君を返して」(井田香奈子)。

この見出しにも驚いた。
「謙一郎」とは、いつきさんが、3年前、性同一性障害を理由に改名する前の名前。
「私の謙一郎君を返して」というフレーズは、NHK教育テレビの「ハートをつなごう:性同一性障害」にご夫妻が出演したときに、奥様の淳子さん(43歳)が発した言葉。

自分の理想の男性像だった夫が、性同一性障害の「治療」という形で、徐々に女性に移行していくことに対する、やり場のない怒りがこめられている。

以後、性同一性障害の夫をもつ妻の感情を表す言葉として、ネット上などで、一人歩きしている感がある。

この問題の関係者でまともな感性の人間なら誰でも、胸に突き刺さる鋭く強い言葉だ。
それを、見出しに使うとは・・・・(だから使ったのだろうが)。

記事は、そうした性同一性障害の夫とその妻の苦悩と葛藤、そして、妻が「私たちの結婚も間違いない」、夫が「この家族を続けたい」と思い至るまでをたどっている。
笑顔で背中を合わせて立つ夫妻のカラー写真を大きく掲げ、性同一性障害と向き合って、危機を克服した家族の姿を紹介する内容。

一読して、どうしようもない違和感が残った。
それが何なのか、今日一日、ずっと考えていた。

1つ目は、家族をここまでマスコミに晒すことへの違和感だろう。
私は、自分の性別の問題に関わることで、家族に対する取材は一切拒否している。
今日も、その種の取材依頼のメールが来たが、お断りした。
個人の問題で家族の平穏を乱すことはしたくないし、すべきでないと考えているからだ。
時代遅れの倫理観だと言われるかもしれないけども、それが家族を守る立場の者として最低限の責任だと思う。

ただ、家族のあり様は、それぞれだから、この点に関して土肥夫妻を批判するつもりはまったくない。
今回の取材にしても、奥様がマスコミに出ることを、ご自分の判断で(自由意志で)決めているのだろうから、他人がとやかく言うべきことでないだろう。

問題は、やはり記事のあり方、全体のトーンだろう。
自分の性別違和感、女性になりたいという気持ちを、妻に告白すること、つまりカミングアウトを美化(理想化)している印象がどうしてもぬぐえない。

カミングアウトというものは、する方は、してしまえば気持ちは軽くなる。
しかし、される側は、その分、気持ちが重くなるものだ。
だから、カミングアウトは、重い荷物を持って歩く人が、傍らを歩く人に荷物を分け持ってもらうことに例えられる。

性別に関わるカミングアウトは、される側の方がずっとたいへんなのだ。
とりわけ夫婦間では・・・。
土肥淳子さんのような聡明で気持ちのしっかりした女性でも、「私の謙一郎君はどこ?」「謙一郎君を返してよ」と叫んでしまうくらい。
並みの精神力の妻だったら、精神的に堪えられなくて当然だと、私は思う。

私の今までの見聞では、土肥夫妻のように、カミングアウトして、夫婦(家族)関係を維持、もしくは再構築できた例は、少数だと思う。
その多くは、夫婦関係の解消・破綻、つまり離婚・家庭崩壊に至っている。

土肥夫妻は、ある意味で、性同一性障害を抱えた夫婦の理想像になっている。
いや、マスコミがよってたかって理想化しようとしていると言うべきだろう。

だが、理想は理想であって、誰もが実現できるものではない。
そうした現実を見ずに、例外的にうまくいった夫婦を取り上げるとしたら、それはカミングアウトをいたずらに奨励することになりかねず、マスコミによるミスリードだと思う。

この連載、毎週日曜日の掲載らしい。
ぜひ、残り2回で、うまくいかなかった事例も取り上げてほしい。

性別違和の問題に関しては、専門家もマスコミも、カミングアウトを奨励する。
「早ければ早いほど良い」と明言する性同一性障害の専門医もいる。
隠すことは不誠実だし、「治療」の妨げになるということだろう。

しかし、私は、「言わぬが花」(世阿弥『風姿花伝』)という古い言葉を思い出す。
まあ、時代遅れの人間のたわ言としか、関係者には受け取られないだろうが。



2007年05月23日  性転換(性別適合)手術の専門医、急死 (コメント欄) [現代の性(性別越境・性別移行)]

コメント

えーーっ 爛々 さん
ホント....衝撃...
...急死の急死ね.....
心筋梗塞とか卒中とかかしら?

何れにせよ、ご冥福をお祈りします。
和田クリもLCクリも閉まっちゃうのかな....あと大変ソ...
(2007年05月23日 22時28分38秒)
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Re:えーーっ(05/23) 三橋順子 さん
爛々さん
>ホント....衝撃...

はい、びっくりでした。
第1報が入ったときは、デマだと思ったくらい。
死因の詳細は、不明ですが、過労による突然死の可能性が高いとのことです。
(2007年05月23日 22時35分08秒)
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ビックリです! 洋子 さん
この前、東京から転勤で、こちらに来られた方を紹介したところなのに・・・
病院は廃院の手続きをとるそうです・・・
大阪の仲間達は、行き場が無くなるって、困ってる状態です!
(私も含めて・・・)
(2007年05月24日 05時24分33秒)
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??? 晴はる さん
まだ、53歳ですよね?
これからなのに……
私と5つしか違わないのに…
やりたいことも色々あったでように…
やっぱり、日々を悔いなきように生きていかなくっちゃですね
(2007年05月24日 10時39分52秒)
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Re:ビックリです!(05/23) 三橋順子 さん

洋子さん、いらっしゃいま~せ。
>大阪の仲間達は、行き場が無くなるって、困ってる状態です!
>(私も含めて・・・)

なにしろ急なことでしたからね。
大阪の業界では大騒動のようですね。
通院者の皆さんは、たいへんでしょう。
切実な問題だし。

たしか10年ほど前だったと思うけど、
東京で大久保病院というホル投与をしてくれる病院が突然、閉院したときの騒動を思い出しました。
基本的には、10年間ほとんど変わってないのだなぁ、と思います。
(2007年05月24日 11時51分32秒)
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Re:???(05/23) 三橋順子 さん

晴はるさん、いらっしゃいま~せ。
>私と5つしか違わないのに…
そうです。私とは1つしか違わない・・・・。

>やりたいことも色々あったでように…
昨日、亡くなった方のブログ日記を資料保全したのですけど、「来年には・・・・するつもり」みたいな将来の希望がいろいろ書いてあって、なんだか切なくなりました。

>やっぱり、日々を悔いなきように
つくづくそう思います。
(2007年05月24日 11時54分49秒)
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Re:性転換(性別適合)手術の専門医、急死(05/23) kaorin さん
本当にびっくりしました…
LCでお注射していただいたこともあったので。
SRS受けたお友達も何人かいるし、これから大変ですね
(2007年05月24日 23時59分28秒)
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Re[1]:性転換(性別適合)手術の専門医、急死(05/23) 三橋順子 さん

kaorinさん、いらっしゃいま~せ。
>SRS受けたお友達も何人かいるし、これから大変ですね。

私の知人にも、和田「娘」は、片手で足りないくらいいます。
全国で推定250~300人といった感じだと思います。
その分の需要、どこが面倒みてくれるのでしょう。
結局は、海外頼みになりそうな・・・・。
(2007年05月25日 01時04分37秒)
-------------------------------------------
和田先生のブログ KATT さん
とても残念です。闇医師というイメージでしたがその信念は真面目で温かいものでした。先生の残されたブログを紹介させてください。
http://blog.goo.ne.jp/wd504/
(2007年05月26日 00時31分10秒)
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Re:和田先生のブログ(05/23) 三橋順子 さん

KATTさん、いらっしゃいま~せ。
>闇医師というイメージでしたがその信念は真面目で温かいものでした。

正直なところ、私も以前は、あまり良い印象はもっていませんでした。
その印象を一変させたのが、お書きになったブログの内容でした。
ご自分が行っている医療に対する信念がうかがえる内容ですね。
(2007年05月26日 00時38分11秒)
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順子さま、始めまして。 まりゅ さん
私は大阪在住のMTFです。

最近こそ私は通っていませんでしたが、初めて♀ホル投与の際からしばらくの間、和田先生にお世話になっていました。突然の訃報に驚きました。ご冥福をお祈りするばかりです。

私のFTMの友人も、突然の閉院にとても戸惑っていました。ずっと通院する形で投与を受けていたので心配しています。
また、お邪魔させてくださいませ。
(2007年05月28日 17時40分15秒)
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Re:順子さま、始めまして。(05/23) 三橋順子 さん
まりゅさん、いらっしゃいま~せ。

>私のFTMの友人も、突然の閉院にとても戸惑っていました。ずっと通院する形で投与を受けていたので心配しています。

関西はずいぶん影響が大きくたいへんなようですね。
早く落ち着くことを願っています。
(2007年05月29日 01時22分35秒)
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Re:性転換(性別適合)手術の専門医、急死(05/23) グリーンフラワー さん
わだ先生の訃報を知り、大変残念に思っています。
随分前にお世話になり出来れば墓前に献花したいと思っていますが、場所が分かりません。ご存知の方いらっしゃれば情報をお願いします。
(2007年09月11日 21時18分15秒)
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Re[1]:性転換(性別適合)手術の専門医、急死(05/23) 三橋順子 さん

グリーンフラワーさん、いらっしゃいま~せ。
>随分前にお世話になり出来れば墓前に献花したいと思っていますが、場所が分かりません。ご存知の方いらっしゃれば情報をお願いします。

急なことで、またいろいろ複雑な事情もお有りのようで、没後のこと、スムーズに運んでいるのか・・・?

ちょっと、聞いてみます。
もし、わかったら・・・。
(2007年09月11日 22時40分18秒)
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台湾で手術 玲子 さん
はじめまして。
私は台湾の台北に住んでいます。日本へ留学したことがあって、今は日本語通訳をやっています。そして、主人も医者です。
この間、日本の方に台湾の性転換手術の名医を紹介して、台北での国病院でFTMの手術を行うことを手伝っていました。
皆様がMTFかFTMの手術に関心を持っている方は、どうぞ私に連絡してください。
私のメールは:reiko6260jp@yahoo.co.jp
(2007年10月06日 01時19分03秒)
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元スタッフです。 マリア さん
グリーンフラワーさん
>わだ先生の訃報を知り、大変残念に思っています。
>随分前にお世話になり出来れば墓前に献花したいと思っていますが、場所が分かりません。ご存知の方いらっしゃれば情報をお願いします。

初めまして。荻窪(LC)に勤めていた、髪の長い方(看護師)です。こちらに、コメントされている方で、私をご存知の方もいらっしゃっるかも知れませんね。その節は、お世話になりました。大阪の患者様でしたら、看護師のTさん、kさんIさんですね。
和田先生は、5月22日急逝され、その後大阪で、親族、スタッフのみの密葬を行いました。
その後、親族間のいざこざ(遺産等…相当揉め)で、色々あったのですが、熊本(先生のご実家)に埋葬されていると思います。
先生の亡くなる半年前、実母を亡くして以来、精神的に参っていた様です。最後の顔は安らかだったのが救いです。お母様と、同じ墓前に入られたと聞きました。 きっと、グリンフラワーさんの優しいお気持ちは、墓前に行かなくとも伝わると思います。
  (2007年10月14日 01時31分41秒)
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Re:元スタッフです。(05/23) 三橋順子 さん

マリアさん、わざわざの書き込み、ありがとうございました。

私は、「親族間のいざこざ(遺産等…相当揉め)」のところまでは、知っていたのですが・・・。

改めて、和田先生のご冥福をお祈りいたします(合掌)。
(2007年10月19日 01時48分58秒)
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Re:元スタッフです。(05/23) マリア† さん
マリアさん
お久しぶりです。そして三橋さん、ここでは初めまして。

私もHNは素性がバレてしまうのでマリアさん同様に洗礼名で書き込みさせて頂きます。和田Drの死去を知った後に私の母教会でミサを主任神父さまにお願いして行なって頂きました。

今は和田Drは天国で安らかに過ごされている事でしょうね。

では失礼致しますね。
(2007年11月12日 14時09分09秒)
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Re[1]:元スタッフです。(05/23) 三橋順子 さん

マリア†さん、いらっしゃいま~せ。

>お久しぶりです。そして三橋さん、ここでは初めまして。
>私もHNは素性がバレてしまうのでマリアさん同様に洗礼名で書き込みさせて頂きます。

ああ、どなたかは詮索しません。

それにしても、半年以上前の記事に、まだコメントが付くとは・・・・。
それだけ、トランスセクシュアルの方にとっては、和田先生は大切な方だったのですね。
あたらめて、ご逝去を残念に思います。
(2007年11月13日 00時14分24秒)
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2007年05月23日  性転換(性別適合)手術の専門医、急死 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2007年05月23日  性転換(性別適合)手術の専門医、急死

5月23日(水)
1994年から最近まで、独自の立場で、MtFの性転換(性別適合)手術(SRS)やFtMの乳房切除手術を数多く行ってきた、大阪北区の美容・形成外科「わだ形成クリニック」の院長和田耕冶医師(53)が、5月22日、急死された。

和田医師は、最初は主にニューハーフ(商業系トランスジェンダー)のSRSを手がけ、その手で「女」になった有名ニューハーフも多いと聞く。

1997年5月に日本精神神経学会が「性同一性障害の診断と治療に関する指針」(ガイドライン)を策定した後も、それに拘束されることなくSRSを続け、90年代末頃からは、一般の性同一性障害者のSRSも積極的に行うようになった。

その手術数は、ガイドラインに則して国内の医療機関で行われた手術数をはるかに上回り、累計で数100件と推定される。
とりわけ、MtFのSRSでは、国内最高レベルの技量を誇り、非ガイドラインルート(裏ルート)の性転換手術専門医として、業界では広く知られた存在だった。
その独自に構築された高度のSRS技術が、継承されることなく消えるのは、大きな損失である。

和田医師の逝去により、国内のSRS需要の過半を担っていた医療機関が消えることになり、4月の埼玉医大のSRS撤退と合わせて、国内の性同一性障害医療システム、とくに手術体制に大きな穴があくことは確実で、深刻な影響が予想される。

理屈や建前でなく、性転換希望者の切実な願いに可能な限り沿う方向で持てる医療技術を駆使した臨床医としての姿勢は、たとえ学界や社会からは異端視されても、多くの当事者の信頼と共感を集めていたと思う。

生前、お目にかかる機会がなかったのは残念だが、心からご冥福を祈る(合掌)。


2007年04月06日 埼玉医大、GID関連手術「撤退」理由判明 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2007年04月06日 埼玉医大、GID関連手術「撤退」理由判明

埼玉医大が、突然、性同一性障害(GID)関係の手術予約をキャンセルした理由が、複数の非公式ルートからの情報で判明した。
原科孝雄教授(形成外科)の定年退職の後をうけて、GID関係の手術を担当する予定だった医師2名が、3月末に急遽退職したため、執刀医がいなくなるという異例の事態となったため。

こうした不自然かつ不可解な事態が生じた背景には、形成外科内部のGID医療に対する認識の分裂・対立があったことが推測される。
いずれにしても、埼玉医大がGID関連の手術を再開するためには、手術の技術をもった医師を他の医療機関から引き抜くか、これから時間をかけて育成するしかなく、「中止」が長期にわたることは決定的になった。

首都圏唯一の総合的なGID医療機関だった同大学がGID関連手術から事実上「撤退」したことにより、日本のGID医療に大きな空白が生じることになった。

それにしても、医師の退職という、きわめて個人的な事情で、医療システムに大穴があき、大勢の患者が治療を継続できなくなるという実態、日本のGID医療の脆弱さをあらためて痛感させられた。


2007年04月05日 地方の女装者の実情 [現代の性(性別越境・性別移行)]

2007年04月05日 地方の女装者の実情

4月5日(木) 晴れ 東京 14.6度 湿度 21%(15時)

11時、起床。
朝ご飯は、ミニクリームパン2個とコーヒー。
シャワーを浴びて、髪をお団子にまとめる。

13時半、仕事場に移動。
途中の住宅街で、昨日の雷雨にも耐えた残り桜が青空を背景にして美しい。

15時、身支度。
灰茶色の地に青色の平行四辺形模様が並ぶ伊勢崎銘仙。
黒・錆朱・樺色の帯を角出しに結ぶ。
長襦袢は、濃い芥子色の半襟を付けた濃緋色。
帯揚は緑色、帯締は深草色(福福堂)。
黒のカシミアのショール。
赤地に麻の葉模様の鼻緒の下駄。

16時過ぎ、家を出て、商店街で買い物。
ハイライト(目の下の隈隠し)用のアイカラーを探す。
カネボウ化粧品が3割引きだったので、T'ESTIMOのカラーアイズNシリーズのPK-42を購入(1050円→735円)。

駅前の本屋(恭文堂)で時間つぶし。
松井今朝子『吉原手引草』(幻冬舎 2007年3月)を購入。
いつか書きたい「変わり者の花魁と世慣れた振袖新造の物語」の参考にしようと思う。

17時、学芸大学駅で北関東の某県で、ランジェリーショップ&女装クラブを経営しているIさんと待ち合わせ。
駅前の喫茶店へ。
お昼抜きだったので、ケーキに手が出かかったが、なんとか堪える。

ランジェリーショップ&女装クラブ、残念ながら、4月で閉店とのこと。
地方の女装者の実情をいろいろ取材。

一口に言うと、状況はかなりきつい。
インターネットの普及で情報の流通量は格段に改善されたものの、地域コミュニティが成立するまでには至らず、女装者が孤立的に存在する状況に変わりがない。

孤立している、コミュニティがないということは、女装者が「女」としての社会性を養う場(機会)がないということ。
中でもいちばんの問題は、女装するという行為と性的興奮が直結している状態から抜け出せていない人が多いという現実。

私が講演などでよく言うことだが、女装と性的興奮が連動している状態では「女」としての社会性は獲得できない。
平たく言えば、そんな人、危なくて社会に出せないし、下手をしたら警察沙汰だからだ。

女装コミュニティでは、『エリザベス会館』のような閉鎖的な女装クラブであれ、新宿の女装スナックのような開放的な酒場であれ、まず、女装と性的興奮という回路をいったん断ち切ること(欲情の自己コントロール)を求められる。

実は、化粧がどうの、ファッションセンスがこうのという以前に、欲情の自己コントロールの修得こそが「女」修行の第一歩なのだ。
それができないと、いつまでも女装男のままで「女」にはなれない。
したがって、女装コミュニティの成員としてはやっていけず、淘汰されてしまう。

ところが、孤立している女装者は、その回路を断ち切る機会がなく、いつまでも女装と性的興奮が連動した女装男のままであることが多い。

東京や大阪の大都市部でも、以前はそういう孤立した女装者は多かった。
私もかってはその一人だった。
だから、地方の女装者の置かれている状況はよくわかる。

ただ、昔(15年前)と現代との大きな違いがひとつある。
それは、女装者の間での「薬」の蔓延だ。
昔は、よほど特殊な人でないかぎり、アマチュアの女装者が「薬」に手を出すことはなかった。
出したくても入手経路がきわめて限られていたからだ。
またコミュニティの先輩たちも、「薬」にまつわる怖い話(〇〇ちゃんは薬物肝炎で死にかかった)や悲惨な事例(〇〇さんはおっぱいが膨らんだのを奥さんにバレて離婚)を誇張して話してくれて、ブレーキ役になった。
いちばん効果的なのは「一生、「薬」と縁が切れない、あたしみたいな身体になったら、おしまいよ」という自嘲話。

ところが、インターネットが普及した現代では、個人輸入で誰でもいくらでも「薬」が手に入る。
孤立した女装者が、限られた情報・知識で、さしたる社会的制約(ブレーキ)もなく「薬」を好き勝手に使ったらどうなるか・・・・。
たとえば、「薬」は量を飲めば飲むほど女になれる(「魔法の薬」信仰)、なんて思ってる人、まだまだ多い。
そうした「薬」の乱用の結果としての悲惨な事例、地方でもかなり生じているらしい。

インターネットで得られる情報と、現実の社会での経験値のアンバランスが、地方の女装者の場合、より危ない形で現れているように感じた。
もちろん、すべての地方の女装者が「危ない状況」にあるのではなく、個人差がおおいにあることは、承知の上でだが。

取材が一段落した後は、共通の趣味の着物の話題に。
こちらは、気楽なおしゃべり。

19時半、Iさんと分かれて、行きつけの居酒屋「一善」に寄る。
グラスビール、ウーロン茶、各1杯。
肴は、ぶりのお刺身、春ごぼうの煮物。

21時半、帰宅。

夕食は、鶏の塩焼き、しじみのお味噌汁を作る。
それに、パートナーが買ってきた生ウニ。
作り置きのモロヘイヤのお浸し。
ご飯、今夜も1膳で我慢。

お風呂に入り、髪を洗う。

この数日、連絡がなく、ちょっと心配していた友達からメールがあり、一安心。
「日記」とお返事メールを書く。

寝る前に、松井今朝子『吉原手引草』を読みだしてしまう。

就寝、5時。

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