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2010年09月 共同通信:ファッションとしての女装ブーム [現代の性(性別越境・性別移行)]

2010年09月 共同通信:ファッションとしての女装ブーム

2010年8月3日に取材を受けた共同通信の記事「ニッポン解析 ファッションとしての女装ブーム」が配信されて、『神戸新聞』(8月21日)、『京都新聞』(8月25日)をはじめ、いくつかの地方新聞に掲載されました。

写真もいい感じだし、文章もなかなかよくまとめてあり、良い記事になりました。
私のコメントは、3段目の末尾から最下段にかけて、かなり長く載っています。

ここでは『京都新聞』2010年8月25日号を紹介します。
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ニッポン解析 ファッションとしての女装ブーム
 ライトな感覚でかわいさ追求
女装をファッションとして楽しむ「男の娘(こ)」が東京・秋葉原を中心に増えている。男性が化粧をして“美”を競い合うコンテスト「東京化粧男子宣言!」も多くの観客を集める。ブームの背景には、アニメや漫画の影響に加え、日本人の伝統的な美意識もあるようだ。

「いらっしゃいませ!」秋葉原の雑居ビルにある女装メイドカフェ「NEWTYPE」を訪ねると、店員の「男の娘」たちが元気な声で迎えてくれる。いつもはメード服だが、この日は特別イベントで全員が浴衣姿。満員の客は男性が7割だが、女性に見える客の数人は女装した男性だ。

「以前働いていた女装メード喫茶が大人気だったけど期間限定だったので、独立して常設店を開きました」と笑顔で話すのは、同店代表の「茶漬け」さん。店員の中には女性の心を持つ人もいれば、コスプレの延長線上の人もいるといい「中身に関係なく、外見が」かわいいのが“男の娘”」。

世間では女装に否定的なイメージを抱く人も多いが、秋葉原ではアニメや漫画のキャラクターに向けるのと同じ“萌え”が大切にされていると語る。そんなライトな感覚がオタク系の男女に受け入れられているようだ。

茶漬けさんが女装を始めたのも、女性になりたいというより「SHAZNA(シャズナ)」などビジュアル系バンドの影響だという。「もっと女装文化を広めるため、ファッションリーダー的存在になる女装版AKB48をいつか作りたい」
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女装メイドカフェ「NEWTYPE」の店員たち。左から3人目が代表の茶漬さん=東京・秋葉原

化粧男子
「東京化粧男子宣言!」は「男の子もキレイになりたい!」をコンセプトに昨年スタート。7月に開かれた第2回大会は“化粧男子”12人がエントリーし、女性を中心に300人もの観客が声援を送った。

企画したMIYAさん=神戸市灘区出身=も化粧男子。「女性を装うのではなく、男性も女性のファッションを取り入れればおしゃれを楽しめることを提案したい」と趣旨を説明する。

司会のいがらし奈波(ななみ)さんは「キャンディ・キャンディ」で知られる漫画家いがらしゆみこさんの長男。昨年、コスプレで女性の服を着たとき「もともと競争ばかりの男性社会についていけないという思いがあったけど、こういう世界もあるんだと気づいた」と語る。

ゆみこさんは「息子の中身が百八十度変わったわけではないのでショックはなかった。おしゃれで『負けた!』と思うことはあるけど」と笑いながら「漫画では、かわいい女子が実は男子だった。またはその逆もよくある話。現実世界が漫画に近づいた気がしますが、若い世代には違和感がないのかも」と分析する。
012.JPG東京・銀座の目抜き通りをおしゃれして歩くMIYAさん(左)といがらし奈波さん

江戸から続く伝統的美意識
自信回復
「女装と日本人」の著書ががある早稲田大ジェンダー研究所客員研究員の三橋順子さんは「もともと『女装が似合うような男が美男子』という感覚を日本人はずっと抱いてきた」と指摘する。

江戸時代の絵師鈴木春信が「江戸三美人」を描いた錦絵で、評判の看板娘2人を従えて中央に立っているのは、豪華な衣装をまとった人気女形瀬川菊之丞(二世)。「当時は女形が女性ファッションのお手本になっていた」と三橋さん。

「明治時代以降に『男はもっと男らしく』と価値観の変容があったが、戦後の日本で受けている男性スターはやはり、伝統的な美男子系が多い。文化の深いところに擦り込まれた意識はそう簡単には変わらない」

こうした日本人の美意識に加え、近年は女性の社会的立場が向上。一方で「草食系男子」に見られるように「男らしさ」「女らしさ」という概念が失われつつある。「男性が虚勢を張れない時代。『かわいい』という女の子の価値観に乗っかる形だが、努力してきれいになることで男の子たちが自信を回復しようとしているのかもしれない」と三橋さんは話した。
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鈴木春信「お仙と菊之丞とお藤」


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