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『風俗奇譚』の書誌(まとめ) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

2011年11月23日  『風俗奇譚』の書誌(まとめ)

1960年~1974年に刊行された「変態」性風俗総合雑誌『風俗奇譚』(刊行:文献資料刊行会、編集人:高倉一)の書誌研究に先週から取りかかっていたが、やっと一段落したので、「戦後性風俗雑誌の研究:その3」として下記のようにまとめた。

「『風俗奇譚』の書誌、および「臨時増刊」一覧」
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-4
「初期『風俗奇譚』の書誌」
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-5
「『画報 風俗奇譚』の書誌」
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-6
「『風俗奇譚』(月刊)の収集状況」
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-7

まだまだ、調査が行き届いていない部分もあるが、おおよその状況は判明した。

『風俗奇譚』月刊    176冊
『風俗奇譚』臨時増刊  40冊
『風俗奇譚』復刊      5冊
『画報 風俗奇譚』    19冊(17集+増刊2冊)
   計          240冊

後継誌『SMファンタジア』11冊

興味がお有りの方は、ご参照のうえ、ご教示いただけたら幸いに思う。


『風俗奇譚』(月刊)の収集状況 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

2011年11月17日 『風俗奇譚』(月刊)の収集状況

『風俗奇譚』は、1960年(昭和35)年1月号から1974年(昭和49)10月号まで、文献資料刊行会(編集人:高倉一)から刊行されたサド、マゾ、男性同性愛、女性同性愛、女装、切腹など各種フェティシズムなどを中心とする月刊の「変態」性風俗総合雑誌である。

月刊分は176冊刊行された。

1960年3月は、「春の臨時増刊号」だけが刊行されて、通常号は刊行されていない。
1962年(昭和37)だけは、1・2月合併号になっている。

1974年(昭和49)10月号を最期に休刊になったが、1974年(昭和49)11月号創刊の『SMファンタジア』(刊行:文献資料刊行会、編集人:高倉一)は、刊行主体、編集人が同一で、一部の連載小説が受け継がれるなど実質的な後継誌だった(1975年9月号まで11冊で休刊)。

さらに1981~82年に「復刊・風俗奇譚」として5冊(発行:檸檬社、編集人:高倉一)が刊行されている。

以下は、月刊誌の私の所持状況である。

1970年以降の後期は、後継の『SMファンタジア』や復刊5冊を含め、ほぼ完全収集状態(1冊だけ漏れ)だが、1960~1963年の初期の4年間が、購入資金が乏しいせいもあり、未所蔵の号が多い。

月刊分は176冊中157冊を所蔵している。
他に、臨時増刊31冊、復刊分5冊、「画報」1冊、『SMファンタジア』11冊。

ちなみに、所蔵のものは、ほとんどが先輩諸氏(ペキさん、橋本さん)などからいただいたもの。その後、2018年9月に、初期の分を中心に欠号28冊を購入した。

まあ、必要な記事(女装・男装関係)はすべてコピー済みなので、完全収集にはこだわっていない(置く場所に困っているし・・・)。
風俗奇譚1965-5.JPG
↑ 『風俗奇譚』1965年5月号
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1960年(昭和35)(欠)1、5、12月号(所蔵2、4、6、7、8、9、10、11月号)
1961年(昭和36)(欠)7、8、9月号(所蔵1、2、3、4、5、6、10、11、12月号)
1962年(昭和37)(欠)6、7、8、9、12月号(所蔵1-2、3、4、5、10、11月号)
1963年(昭和38)(欠)3、8月号(所蔵1、2、4、5、6、7、9、10、11、12月号)
1964年(昭和39)揃い
1965年(昭和40)揃い
1966年(昭和41)揃い
1967年(昭和42)(欠)3、9月号
1968年(昭和43)(欠)2、6月号
1969年(昭和44)(欠)2、8月号
1970年(昭和45)揃い
1971年(昭和46)揃い
1972年(昭和47)揃い
1973年(昭和48)揃い
1974年(昭和49)揃い(『風俗奇譚』10月号で休刊。11月号から『SMファンタジア』)
1975年(昭和50)揃い(『SMファンタジア』9月号で休刊)

復刊5冊    揃い
1981年(昭和56)7月号(オール読切7月増刊)
1981年(昭和56)10月号(コレクター10月増刊)
1982年(昭和57)1月号(小説タウン1月増刊)
1982年(昭和57)5月号(漫画快楽王5月増刊)
1982年(昭和57)8月号(オール読切8月増刊)

(2018年9月28日 追記)

『画報 風俗奇譚』の書誌(戦後性風俗雑誌の研究:その3-3) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

2011年11月16日
『画報 風俗奇譚』の書誌(戦後性風俗雑誌の研究:その3-3)

ほとんど持っていないのだが、『画報 風俗奇譚』(刊行:文献資料刊行会、編集人:高倉一)の刊行状況を整理しておく。

(1)刊行期間は1960年5月~1961年10月
(2)17集+臨時増刊2冊の全19冊。
(3)『風俗奇譚』(月刊・臨時増刊)とは通巻が別体系。
(4)途中、通巻記載に誤りがある(※印の3冊)。

なお、「画像確認」は、主に、くろねこ氏のサイト「懐かしき奇譚クラブ」のお世話になりました(感謝)
http://nawa-art.com/etc/fk/fk.htm

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推定通巻
  1 『画報 風俗奇譚』  (1960年5月) 画像確認(通巻記載なし)
  2 『画報 風俗奇譚』2集(1960年7月) 画像確認(通巻記載なし)
  3 『画報 風俗奇譚(秘蔵版)』3集(1960年8月)画像確認(「通巻3号」と記載)
  4 『画報 風俗奇譚』4集(1960年9月) 未確認
  5 『画報 風俗奇譚』5集(1960年10月) 画像確認(「第1巻第5号」と記載)
  6 『画報 風俗奇譚』6集(1960年11月) 画像確認(「通巻6号」と記載)
  7 『画報 風俗奇譚』7集(1960年12月) 画像確認(「通巻7号」と記載)
  8 『画報 風俗奇譚』8集(1961年1月) 画像確認(通巻記載なし)
  9 『画報 風俗奇譚』臨時増刊(1960年1月)画像確認(通巻記載なし)
  10 『画報 風俗奇譚』9集(1961年2月) 画像確認(「通巻10号」と記載)
  11 『画報 風俗奇譚』10集(1961年3月) 画像確認(「通巻10号」と記載)※
  12 『画報 風俗奇譚』11集(1961年4月) 画像確認(「通巻11号」と記載)※ 
  13 『画報 風俗奇譚』臨時増刊(1961年4月)画像確認(「通巻12号」と記載)※  
  14 『画報 風俗奇譚』12集(1961年5月) 画像確認(「通巻14号」と記載)
  15 『画報 風俗奇譚』13集(1961年6月) 所蔵(「通巻15号」と記載)
  16 『画報 風俗奇譚』14集(1961年7月) 未確認
  17 『画報 風俗奇譚』15集(1961年8月) 画像確認(「通巻17号」と記載)
  18 『画報 風俗奇譚』16集(1961年9月) 未確認
  19 『画報 風俗奇譚』17集(1961年10月) 画像確認(「通巻19号」と記載)
画報風俗奇譚13.JPG
↑ 『画報 風俗奇譚』13集(1961年6月:通巻15号)


初期『風俗奇譚』の書誌(戦後性風俗雑誌の研究:その3-2)

2011年11月16日
初期『風俗奇譚』の書誌(戦後性風俗雑誌の研究:その3-2)

一部、不明確な点があった初期(1960~63年)の『風俗奇譚』(月刊、および臨時増刊)の刊行状況がほぼ確定できた。

(1)同時期に刊行されていた『画報 風俗奇譚』とは通巻が別体系。
(2)創刊直後の1960年3月は、「春の臨時増刊号」だけが刊行されて、通常号は刊行されていない。
(3)1961年1月と2月は合併号。
(4)1961年10月号表紙の通巻記載に誤植がある。
   表紙に「通巻23号」とするが、裏表紙の「通巻25号」が正しい。
(5)1962年は、臨時増刊は刊行されていない。

なお、「画像確認」は、主に、くろねこ氏のサイト「懐かしき奇譚クラブ」のお世話になりました(感謝)
http://nawa-art.com/etc/fk/fk.htm

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通巻
1 創刊臨時特集号(画像確認)
2 妖艶特集2月号(所蔵)
3 春の臨時増刊号(所蔵)
4 悦虐特集4月号(画像確認)
5 耽美法悦特集5月号(画像確認)
6 1960年6月号(所蔵)
7 夏の臨時増刊・薫風特別号(所蔵)
8    7
9    8
10    9
11 1960年10月号(画像確認)
12    11
13    12月号(画像確認)
14 1961年1月号(所蔵)
15    2
16    3
17 1961年4月号(画像確認)
18 1961年5月号(所蔵)
19 1961年5月臨時増刊号(所蔵)
20 1961年6月号(所蔵)
21    7月号(画像確認)
22    8月号(画像確認)
23 1961年8月臨時増刊号(所蔵)
24    9
25 1961年10月号(所蔵) 表紙に「通巻23号」とあるのは誤植。
26    11
27 1961年12月号(画像確認)
28 1961年12月臨時増刊号(所蔵)   
29    1・2月合併号
30    3
31 1962年4月号(所蔵)
32 1962年5月号(所蔵)
33 1962年6月号(画像確認)
34    7
35    8
36    9
37 1962年10月号(所蔵)
38    11
39    12
40    1 
41    1臨
42 1963年2月号(所蔵)
43    3
44 1963年4月号(所蔵)
45 1963年4月臨時増刊号(所蔵)
46    5
47    6
48    7
49    8
50 1963年8月臨時増刊号(所蔵)
51    9
52 1963年10月号(所蔵)
53    11
54 1963年12月号(所蔵)

なお、「画像確認」は、主に、くろねこ氏のサイト「懐かしき奇譚クラブ」のお世話になりました(感謝)
http://nawa-art.com/etc/fk/fk.htm

Fu1960-1.jpg
↑ 1960年1月刊行の『風俗奇譚・臨時特集号』。これが創刊号に相当する。
Fu1960-2.JPG
↑ 1960年2月刊行の『風俗奇譚・妖艶特集号』。これが第2号。
Fu1960-6.JPG
↑ 『風俗奇譚』1960年6月号(通巻6号)。
この頃までは、和風の表紙が多かった。
風俗奇譚1961-5.jpg
↑ 『風俗奇譚』1961年5月号(通巻18号)
風俗奇譚1961-6.JPG
↑ 『風俗奇譚』1961年6月号(通巻20号)
「特集 女装に陶酔する男たち」


『風俗奇譚』の書誌、および「臨時増刊」一覧(戦後性風俗雑誌の研究:その3-1) [性社会史研究(性風俗雑誌)]

2011年11月16日
『風俗奇譚』の書誌、および「臨時増刊」一覧(戦後性風俗雑誌の研究:その3-1)

『風俗奇譚』は、1960年(昭和35)年1月号から1974年(昭和49)10月号まで、文献資料刊行会(編集人:高倉一)から刊行されたサド、マゾ、男性同性愛、女性同性愛、女装、切腹など各種フェティシズムなどを中心とする月刊の「変態」性風俗総合雑誌である。

月刊分に関しては、創刊から終刊までほぼ定期刊行が守られた。
ただし、創刊直後の1960年3月は、「春の臨時増刊号」だけが刊行されて、通常号は刊行されていない。

『風俗奇譚』は、創刊から休刊まで編集人だった高倉一が創設した「風俗資料館」(東京都新宿区揚場町)にほぼ全冊が収蔵されているが、同館の所蔵雑誌目次目録(http://pl-fs.kir.jp/pc/lib/menu-fr.htm)では、この「春の臨時増刊号」を1960年3月号として扱っている。
しかし、内容などから臨時増刊として扱った方が良いと思う。

また、1962年(昭和37)だけは、1・2月合併号になっている。

その結果、月刊分は、1960年と1962年が11冊、1961年、1963~1973年が12冊、1974年が10冊の計176冊となる。

1974年(昭和49)10月号を最期に休刊になったが、1974年(昭和49)11月号創刊の『SMファンタジア』(刊行:文献資料刊行会、編集人:高倉一)は、刊行主体、編集人が同一で、一部の連載小説が受け継がれるなど実質的な後継誌だった(1975年9月号まで11冊で休刊)。

さらに1980年代に「復刊・風俗奇譚」(発行:檸檬社、編集人:高倉一)として5冊が刊行されている。

月刊誌の他に「画報 風俗奇譚」(1960~61年、17集まで)などが刊行され、その書誌はかなり複雑である。たとえば「画報 風俗奇譚」は月刊誌の通巻に含まれず、「臨時増刊」は月刊誌の通巻に含まれる。

「臨時増刊」については、「風俗資料館」の収蔵に若干の漏れがあったように思う。
そのせいか、同館の所蔵雑誌目次目録には「臨時増刊」は含まれてなく、全容がはっきりしなかった。

そこで「臨時増刊」についての収集と整理を行った。その結果、「臨時増刊」は40冊刊行されたと思われる。
現在、私の手元に36冊を所蔵している。

現在までも調査をまとめると、『風俗奇譚』の刊行冊数は下記のようになる。
『風俗奇譚』月刊    176冊
『風俗奇譚』臨時増刊   40冊
『風俗奇譚』復刊      5冊
『画報 風俗奇譚』    19冊(17集+増刊2冊)
   計        240冊

後継誌『SMファンタジア』11冊
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『風俗奇譚』「臨時増刊」の一覧

(1)1960年春の臨時増刊号(通巻3) 妖異・猟奇・艶笑特選読物25編
(2)1960年夏の臨時増刊号(通巻7) 特集・変態性欲犯罪実録・世界怪奇残虐秘話
(3)1961年5月臨時増刊号(通巻19) 特集マゾヒストの天国・同性愛の法悦境 B5版
(4)1961年9月臨時増刊号(通巻23) サド小説とマゾ読み物特集 
(5)1961年12月臨時増刊号(通巻28) サド・マゾ傑作小説と妖美読み物特集号 
(6)1963年1月臨時増刊号(通巻)  サドの花園・マゾの天国・ホモの楽園特集号 欠
(7)1963年4月臨時増刊号(通巻45) 画報版・妖美の世界
(8)1963年8月臨時増刊号(通巻50) 画報・サドとマゾとホモの世界
(9)1964年1月臨時増刊号(通巻56) 画報 魅惑への郷愁(1)
(10)1964年4月臨時増刊号(通巻60) サドの花園・マゾの天国・ホモの楽園特集号
(11)1964年8月臨時増刊号(通巻65) 画報 魅惑への郷愁(2)
(12)1965年1月臨時増刊号(通巻71) 画報 魅惑への郷愁(3)
(13)1965年4月臨時増刊号(通巻75) 画報 魅惑への郷愁(4)
(14)1965年8月臨時増刊号(通巻80) 画報 魅惑への郷愁(5)
(15)1966年1月臨時増刊号(通巻86) 画報 魅惑への郷愁(6)
(16)1966年4月臨時増刊号(通巻90) 画報 魅惑への郷愁(7)
(17)1966年8月臨時増刊号(通巻95) 画報 魅惑への郷愁(8)
(18)1967年1月臨時増刊号(通巻101) 画報と読み物特集号(1)
(19)1967年4月臨時増刊号(通巻105) 画報と読み物特集号(2)
(20)1967年8月臨時増刊号(通巻110) 愛蔵版(1)画報と読み物特集号
(21)1968年1月臨時増刊号(通巻116) 愛蔵版(2)傑作読み切り短編特集号
(22)1968年4月臨時増刊号(通巻120) 愛蔵版(3)傑作読み切り短編特集号
(23)1968年8月臨時増刊号(通巻125) 愛蔵版(4)傑作読み切り短編特集号
(24)1969年1月臨時増刊号(通巻131) 愛蔵版(5)傑作読み切り短編特集号
(25)1969年4月臨時増刊号(通巻135) 愛蔵版(6)傑作読み切り短編特集号
(26)1969年7月臨時増刊号(通巻139) 世界名作カラー版シリーズ(1)「鞭の歓び」
(27)1969年10月臨時増刊号(通巻143) 愛蔵版(7)傑作読み切り短編特集号
(28)1970年1月臨時増刊号(通巻147) 世界名作カラー版シリーズ(2)「縄と鞭」
(29)1970年4月臨時増刊号(通巻151) 愛蔵版(8)傑作読み切り短編特集号
(30)1970年7月臨時増刊号(通巻155) 愛蔵版(9)傑作読み切り中編特集号
(31)1970年10月臨時増刊号(通巻159)世界名作カラー版シリーズ(3)「女神の履歴書」
(32)1971年1月臨時増刊号(通巻163) 愛蔵版(10)傑作読み切り短編特集号
(33)1971年4月臨時増刊号(通巻167) 世界名作カラー版シリーズ(4)「スワンの城」 
(34)1971年7月臨時増刊号(通巻171) 愛蔵版(11) 欠
(35)1971年10月臨時増刊号(通巻175) 世界名作カラー版シリーズ(5)「淫虐なる女神たち」
(36)1972年1月臨時増刊号(通巻179) 愛蔵版(12)傑作読み切り中編特集号
(37)1972年4月臨時増刊号(通巻182) 世界名作カラー版シリーズ(6)
                    「女神の誕生」(女神の履歴書完結編)
                    「鏡の中の悦虐」(続・スワンの城)
(38)1972年7月臨時増刊号(通巻187) 「紫金城の女神」? 欠
(39)1972年10月臨時増刊号(通巻191) 「続・紫金城の女神」 読切傑作短編集
(40)1973年1月臨時増刊号(通巻195) 「紫金城の女神・第3部」 欠

(未所蔵の4冊については、データが入り次第、追記する予定)

Fu1960-3R.JPG
↑ 1960年3月刊行の『風俗奇譚』通巻3号。「春の臨時増刊号」と銘打たれているが、この月は通常号は刊行されず、月刊分に扱うか、「臨時増刊」として扱うか、判断に迷った。
創刊直後のこの時期の月刊分の表紙は浮世絵風なので表紙デザイン的に見て、別扱いだったように思われる。
風俗奇譚1961-5R.jpg
↑ 『風俗奇譚』1961年5月臨時増刊号「特集マゾヒストの天国・同性愛の法悦境」(通巻19) 
『風俗奇譚』はA5版が標準だが、この号だけB5版。
風俗奇譚1964-1R.jpg
↑ 『風俗奇譚』1964年1月臨時増刊号「画報 魅惑への郷愁(1)」(通巻56)
風俗奇譚1964-4R.JPG↑ 『風俗奇譚』1964年4月臨時増刊号「サドの花園・マゾの天国・ホモの楽園特集号」(通巻60)

『風俗科学』掲載の同性愛、女装・男装関係記事 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

『風俗科学』の同性愛、女装・男装関係記事

◎ 昭和28年(1953)8月号(1巻1号)
特集「男色時代-今や男色は全国を風靡している-」
「ドイツを震撼させた男色裁判」(森 藤一郎)
「かくて男色は流行する」(柏倉幸蔵)
「男色閑談」(宮園三四郎)
「(小説)男色閨怨」(遠藤松喜)

◎ 昭和28年(1953)10月号
「フランスに於ける二形(ふたなり)事件-男女両性の神秘-」(都築武次郎)
「男色者とその性的特質ー前月号の柏倉氏所論に駁すー」(扇屋亜夫)
「美少年録」(神原貞二)
「蔭間茶屋考」(草刈透一)

◎ 昭和28年(1953)11月号(1巻3号)
「男色輪廻-男色者の悩み-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和28年(1953)12月号(1巻4号)
「欧米に於ける男色の流行」(瀬沼整一郎)
「同性愛の史上人物」(土井耕作)
「男色クラブ探訪記」(河野光治)
「(小説)男色遍路」(扇屋亜夫)
「女になった男の手記-乳房がなくとも性愛は満点-」(六七木八枝)

◎ 昭和29年(1954)1月号(2巻1号)
特集「ソドミイの頁」
「(グラビア)ソドミアの生態アルバム」
「元禄野郎考」(上原俊郎)
「ソドミイの五つの変型」(かびや・かずひこ)
「(小説)ソドミイの淵」(河野光治)
「(小説)肉体への反逆」(扇屋亜夫)
「同性愛に悩む友へ」(坂田春人)
「東京におけるソドミアの実態調査報告」(高畑益朗)

「半男半女の実相」(藤原隆三)
「女性の同性愛」(仁科順三)

◎ 昭和29年(1954)2月号(2巻2号)
特集「女性の異常性風俗」
「レスビアニズム雑考」(宮川好子)
特集「ソドミアの生態」
「アメリカの同性愛ブーム」(ウヰリアム・マクナイン)
「芸能人の同性愛をさぐる」(大野木俊)
「そどみあは貴方の隣にいる!」(扇屋亜夫)
「戒律と肉体とー僧院の蔭に咲く男色秘話ー」(河野光治)
「(対談)同性愛と男根羨望について」(比企雄三・扇屋亜夫)

「そどみあ通信」
「(小説)レスポス騒動(『情園』完結編)」(武野藤介)

◎ 昭和29年(1954)3月号(2巻3号)
特集「同性愛の花」
「お姉さまの鞭の下」(鳴嶋八重子)
「そどみあは貴方の隣にいる!(2)」(古田春夫)
「男の肌ぞ美しき-女装マニアの手紙-」(扇屋亜夫)
「憎しみは泡沫の如く」(秩父甚次郎)
「(小説)鶏色する花々」(かびや・かずひこ)
「そどみあ通信」
「『風俗科学研究会』(F・K・K)のお便り」(西條道夫)

◎ 昭和29年(1954)4月号(2巻4号)
特集「あぶの手記集」
「れすぼすの記」(宮内由美)
特集「そどみやの国」
「そどみやの世界」(読者)
「十代の少年同性愛」(鹿火屋一彦)
「(小説)白い色の情熱」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)5月号(2巻5号)
特集「そどみあの花園」
「みにや・からば」(並木三策)
「わが男色履歴書」(木内義則ほか)
「ある男色者」(青木十郎)
「男色に代用された女性群」(橋本徹也)
「(小説)素朴なる活火山」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)6月号
「同性愛と性の転換-ホモ医学(1)-」(太田典礼)
「ドイツの美少年カフェ」(刈谷 健)
「ホモの花束(1)―同性愛の百科事典(1)―」(かびや・かずひこ)
「(小説)ママという男」(南条哲夫)
「(小説)紅いベレエ」(扇屋亜夫)
「そどみやの花園」(ON生ほか)
「女性のパトロンを求める女」(長谷川しづ子)
「性風俗解剖室・男装マニヤ」

◎ 昭和29年(1954)7月号(2巻7号)
「戦後の男色同性愛」(上村八郎)
「性医学の部屋:性の転換を願う人―男から女へ肉体手術は流行する―」(太田典礼)
「わが半生の記」(永井明子)
「ホモの花束(2)-同性愛の百科辞典-」(かびや・かずひこ)
「そどみあの花園」(ON生ほか)
「(小説)そどみあは行く」(扇屋亜夫)
「(小説)友愛讃歌」(東 栄一)

◎ 昭和29年(1954)8月号(2巻8号)
「ホモの花束(3)-同性愛の百科事典-」(かびや・かずひこ)
「(小説)薔薇盗人-そどみあは行く・その2-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)9月号(2巻9号)
「女性の同性愛について」(OR生)
「最近に於ける同性愛の動向-調査第一回中間報告-」(太田典礼)
「F・K・Kだより―風俗科学研究会のことども―」(扇屋亜夫)
「男娼学校の生態」
「アメリカに於ける同性愛」(青山悠一郎)
「ホモの花束(4)-同性愛の百科事典-」(かびや・かずひこ)
「(小説)磐梯のホルムス-そどみあは行く・その3-」(扇屋亜夫)
「江戸でかめろん」(南条哲夫)

◎ 昭和29年(1954)10月号(2巻10号)
「男色に関する十二章」(西条道夫)
「変態売笑罷り通る」(内田俊之)
「(小説)偽れる肢体-ある男体秘密記-」(宮原弓夫)
「あるソドミアの落書」(露地志野)
「(小説)彷徨える出発-そどみあは行く・その4-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)11月号(2巻11号)
「話題になった性の転向者たち」(江上文平)
「(小説)ヘラクレースへの幻想」(東 栄一)
「花弟」(卯野四緑)
「太鼓腹への妄執」(須渾 朔)
「同性愛の親睦クラブ御案内」
「(小説)ひと夜の情熱-そどみあは行く・その5-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和29年(1954)12月号(2巻12号)
「女性の同性愛が欲しい」(東京 あざみ子)
「(小説)蛇装の淫楽」(久我春之助)
「FKKのお便り」
「ホモの会の記録―FKK秋季大会記―」(西條生)
「(小説)雁来紅の家-そどみあは行く・その6-」(扇屋亜夫)

◎ 昭和30年(1955)1月号(3巻1号)
「男子禁制の悶えー異常風俗の解剖ー」(上田成年)
「女装マニアの手紙」(N・N生)
「(小説)港の見える丘-そどみあは行く・その7-」(扇屋亜夫)
「同性愛親睦クラブへの御招待」(扇屋亜夫)

◎ 昭和30年(1955)2月号(3巻2号)
「ホモの殿堂『少女歌劇の世界」(古川映介)
「男色喫茶店・酒場の東京地図ーそどみあご案内ー」(XYZ)
「(小説)偽りの季節ーそどみや小説ー」(児玉茂樹)
「私のページ」(扇屋亜夫)
「ホモの頁」

◎ 昭和30年(1955)3月号(3巻3号)
「理想的な男娼はこうして造られる!」(青島千秋)
「新東京男色団」(川合十郎)
「私は女装の麗人ですーある女装マニヤの手記ー」(椎名敏江)
「(座談会)女性のホモ罷り通る」(扇谷亜夫・上島つぎ・三輪洋子・河上聖子・西條道夫:司会)
「男色の性典」(みね・はるさわ)
「(小説)無頼漢と美少年」(美山玻璃子)

※ 2010年11月26日初稿、2011年2月20日・6月16日・22日、2015年5月23日資料追加・改訂

なお、『風俗科学』の書誌については下記を参照ください。
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-2

『風俗科学』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その2- [性社会史研究(性風俗雑誌)]

『風俗科学』の書誌 -戦後性風俗雑誌の研究:その2-

『風俗科学』は、前回、書誌をまとめた『風俗草紙』に遅れること、わずか1カ月の1953(昭和28)8月に創刊された。

『人間探究』、『風俗草紙』、『あまとりあ』などと並ぶ1950年代の性風俗文化雑誌の代表的なものだが、「科学」という書名の通り「特異風俗の研究誌」にこだわっている点に特色がある。
また「そどみあ」研究・交流にも力を入れており、1950年代の男性同性愛世界の研究資料としても価値が高い。

『風俗草紙』より少し長く、1955年(昭和30)3月くらいまで刊行されたようだが、『風俗草紙』と同様に、詳しい書誌はわかっていない。

おそらく全19冊と思われ、2015年5月に収集が完了したので、現在まで整理できた書誌をアップしておく。

【書名】 『風俗科学』(ふうぞくかがく)

【刊行時期】 1953年(昭和28)8月~1955年(昭和30)3月?
      全19冊?

【出版社】 第三文庫(東京都千代田区神田小川町2-10)

【編集人・発行人】
(編集兼発行人)西條道夫 (1953年8月号~1954年4月号)
(編集兼発行人)町田伸五 (1954年5月号)
(編集人)手塚正夫 (発行人)町田伸五(1954年6月号~10月号?)
(編集人)西條道夫 (発行人)町田伸五(1954年11月号?~1955年3月号?)

【版型】 A5版。

【内容】
「特異風俗」の研究を目的とした性風俗文化雑誌。
創刊号で「真面目な真剣な研究者や愛好家の集いとして、健全に育てたい」と編集人の西條道夫が言っているように、性科学・性風俗の研究雑誌の体裁を取った。
したがって、内容も論考やレポートが中心で、小説などのフィクションは少ない。
また、創刊号で編集人の西條道夫が「ソドミア研究家のために、特別に頁を設け、お便宜を計りたいと思います」と述べているように、ソドミア(男性同性愛)研究・交流に力を入れていた。

【主な寄稿者】
扇屋亜夫(文筆家・ソドミア研究家)、太田典礼(医師・性科学研究家)、鹿火屋一彦(文筆家・ソドミア研究家)、秩父甚次郎(『奇抜雑誌』発行人)、中野栄三(性風俗・性文学研究家)、南条哲夫(文筆家)、比企雄三(性科学研究家)など

【特異風俗研究会・風俗科学研究会(FKK))】
『風俗科学』編集長西條道夫が発起した男性同性愛に興味をもつ人々の友好団体。
1953年8月の『風俗科学』創刊号に「武野藤介先生にお願いして、着々準備を進めて居り」とあり、雑誌刊行時から企画されていた。

『風俗科学』1953年10月号に「『風俗科学研究会』のお知らせ」が載り、「風俗科学研究会」の名称で、この頃、発会したものと思われる。
会の性格については「そどみあ愛好者だけの会とすること」と規定され、実質的には男性同性愛の愛好者の親睦団体だった。
具体的には、『風俗科学』編集室を通して資料や意見の交換を行う。
100円の入会費と『風俗科学』3か月(後に4か月)の契約で入会可能。
会員名簿も発行されるが、実名ではなく、会員同士の手紙のやりとりは『風俗科学』編集室を通す。
ただし、親しくなった会員同士は直接手紙のやりとり、または会合は可能。
事務局は、第三文庫に置かれた。
会員は最盛期で500人以上?(1954年11月号の編集後記)。

【刊行期間と巻号について】
* 1954年8月号(1巻1号)と10月号(2巻2号)の間が飛んでいる(9月号は不発行)。
* 1955年3月号(通巻19号?)以降は実物はもとより存在した形跡もまったく確認できない。
 これが最終号か。

【各冊データ】
1-1 『風俗科学』1953年8月号    180頁 定価100円
1-2 『風俗科学』1953年10月号    180頁 定価100円
1-3 『風俗科学』1953年11月号    180頁 定価100円
1-4 『風俗科学』1953年12月号    180頁 定価100円  
2-1 『風俗科学』1954年1月号    180頁 定価100円
2-2 『風俗科学』1954年2月号    180頁 定価100円
2-3 『風俗科学』1954年3月号    180頁 定価100円
2-4 『風俗科学』1954年4月号    180頁 定価100円
2-5 『風俗科学』1954年5月号    180頁 定価100円
2-6 『風俗科学』1954年6月号    180頁 定価100円
2-7 『風俗科学』1954年7月号    192頁 定価100円
2-8 『風俗科学』1954年8月号    184頁 定価100円
2-9 『風俗科学』1954年9月号    200頁 定価100円
2-10 『風俗科学』1954年10月号    200頁 定価100円
2-11 『風俗科学』1954年11月号    196頁 定価100円
2-12 『風俗科学』1954年12月号    196頁 定価100円
3-1 『風俗科学』1955年1月号    196頁 定価100円
3-2 『風俗科学』1955年2月号    196頁 定価100円
3-3 『風俗科学』1955年3月号    228頁 定価100円

【表紙画像集(全19冊)】 (すべて所蔵)
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↑ ◎『風俗科学』1953年8月号(創刊号)
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↑ ◎『風俗科学』1953年10月号
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↑ ◎『風俗科学』1953年11月号
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↑ ◎『風俗科学』1953年12月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年1月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年2月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年3月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年4月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年5月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年6月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年7月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年8月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年9月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年10月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年11月号
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↑ ◎『風俗科学』1954年12月号
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↑ ◎『風俗科学』1955年1月号
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↑ ◎『風俗科学』1955年2月号
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↑ ◎『風俗科学』1955年3月号

(註)2015年5月、19冊完全収集。書誌記載など、加筆・部分訂正。
なお、『風俗科学』『風俗科学』の同性愛、女装・男装関係記事については下記を参照ください。
http://zoku-tasogare-sei.blog.so-net.ne.jp/2012-09-19-3

『風俗草紙』の同性愛、女装・男装関係記事 [性社会史研究(性風俗雑誌)]

『風俗草紙』の同性愛、女装・男装関係記事(調査確認分のみ)

◎ 昭和28年(1953)7月号(1巻4号)
「男色喫茶店-同志を索(もと)めるソドム族の倶楽部として-」(かびや・かずひこ)
「(小説)恍惚の白鳥」(鳥羽瑛子)
「(小説)美少年の街」(志摩雪夫)
「(倒錯の夜 男女同性愛者の歓びと嘆き)うーるにんぐの嘆き」(眞下光二)
「(倒錯の夜 男女同性愛者の歓びと嘆き)保名狂乱」(有馬千鶴子)
「(倒錯の夜 男女同性愛者の歓びと嘆き)逃げた妻」(香川扇次郎)
「レスボス通信」(園村恵子)
「そどみあ通信」(藤井 晃)

◎ 昭和28年(1953)8月号(1巻5号)
「男色営倉」(松尾 亮)
「そどみあ通信」(藤井 晃)
「レスボス通信」(園村恵子)
「(小説)倒錯の舗道」(志摩雪夫)

◎ 昭和28年(1953)9月号(1巻6号)
「衆道秘伝考」(千明克己)
「そどみあ通信」(藤井 晃)
「レスボス通信」(園村恵子)
「(小説)男色アパート」(志摩雪夫)
「(小説)隠花植物」(相磯秀雄)

◎ 昭和28年(1953)10月号(1巻7号)
「馬を見る夫人」(日夏由紀夫)
「歪んだ女」(鳥羽瑛子)
「そどみあ放浪記」(渋井徹夫)

◎ 昭和28年(1953)11月号(1巻8号)
「(小説)女装男-まにあ地獄(第4回)-」(日夏由紀夫)
「そどみあの断層-男色を不可解とする人のために-」(鹿火屋一彦)
「(小説)蒼ざめた色情」(駒井 登)
「ガミアニの閨」(國方麻里子)
「レスボス通信」(園村恵子)
「そどみあ通信」(藤井 晃)

◎ 昭和28年(1953)12月号(1巻9号)
「男色は治癒できるか-異常性愛の医学-」(鹿火屋一彦)
「レスボス通信」(園村恵子)
「そどみあ大座談会-男色の歓びと悩みを語る-」(司会:鹿火屋一彦)

◎ 臨時増刊「秘蔵版 風俗草紙」(1953年12月)
「双刃の剣に血ぬる…」(龍膽寺 雄)
「ソドミア風土記ー関東・関西における同性愛者の集合地帯ー」(藤井 晃)
「レスボス・テクニイク」(園村恵子)
「ソドミアにおける交情の生態」(かびや・かずひこ)
「女子同性愛の断層」(堀内得郎)
「女子同性愛艶本めぐり 実らざる悦楽」(柴田 敏)
「異国衆道談議 ー外国人の男色ー」(柳生 亘)
「夜の女装男」(澤本芳男)
「愛慾通信」(樫原幸彦)
「少年裸像」(加賀正治)




◎ 昭和29年(1954)1月号(2巻1号)
「奇態同性愛譚」(高橋 鉄)
「続・男色喫茶店-最新ソドミア社交場案内-」(かびや・かずひこ)
「レスボス通信」(園村恵子)
「そどみあ通信」(藤井 晃)
「現代怪猫伝-女装まにあの手記-」(相磯秀雄)

◎ 昭和29年(1954)2月号(2巻2号 通巻12号)
「同性愛変痴崇物症-アブ・ホモ・セクスアリス(2)-」(高橋 鉄)
「そどみあ通信」(藤井 晃)
「レスボス通信」(園村恵子)

◎ 昭和29年(1954)4月号(2巻3号 通巻13号)
「(男色の性典)下帯マニア」(水谷雪夫)
「(男色の性典)被虐想春譜」(長塚弘二)
「(男色の性典)美少年サド」(山中鐡二)
「奇態同性愛譚(3)」(高橋 鉄)
「わたしの男装徘徊記-でも、わたしはやはり女だった-」(佐伯京子)
「レスボス通信」(園村恵子)
「そどみあ通信」(藤井 晃)
「女装まにあの手記」(西塔 哲)

◎ 『風俗草紙 臨時増刊 現代読本』 昭和29年(1954)6月発行
「そどみあ交際術」(鹿火屋一彦)

◎ 昭和29年(1954)8月号
「レスボス通信」(園村恵子)
「そどみあ通信」(藤井 晃)

◎ 昭和29年(1954)9月号(2巻7号 通巻16号)
「そどみあ通信」(藤井 晃)
「(小説)男色・織田信長」(川上矢太郎)

◎ 昭和29年(1954)10月号(2巻8号 通巻17号)
「ナルシストの恋文」(鳥羽瑛子)

『風俗草紙』の書誌 ―戦後性風俗雑誌の研究:その1― [性社会史研究(性風俗雑誌)]

『風俗草紙』の書誌 ―戦後性風俗雑誌の研究:その1―

昭和20年代前半(1946~50)、戦後の混乱期、出版規制が解除されると、性風俗を主なテーマにした粗悪な紙質の短命な雑誌が数多く刊行された。それらの雑誌は、3号くらいで倒産することから、3合飲むと悪酔いして倒れる粗悪な酒「カストリ」にたとえて「カストリ雑誌」と呼ばれた。昭和20年代も後半(1950~55)になると、社会混乱も徐々に落ち着き、少しまともな造りの性風俗文化雑誌が登場してくる。

実は、戦後の性風俗文化雑誌は、国会図書館などに所蔵されてなく、正確な書誌が明らかでないものがけっこうある。そうした性風俗文化雑誌の1つに『風俗草紙』があった。そこで、少し前から、書誌をまとめるつもりで、実物を集めていた。

まだ、ほぼ書誌の全体像がつかめたので、まとめてみた。
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【書名】 『風俗草紙』(ふうぞくそうし)
【刊行時期】 1953年(昭和28)7月~1954年(昭和29)10月?
      2冊の増刊号を入れて全14冊
【出版社】 日本特集出版社
【編集人・発行人】
 (編集)氏家富良・(発行)野村佳秀(1953年7月号~1954年4月号)
 (編集・発行)村田清(1954年9月号~10月号)
【版型】 A5版(増刊号を除く)。表紙は秋吉巒。

【内容】
昭和28年(1953)7月号の奥付に「本誌は、孤独な病癖に憑かれた方々の為に心からなる友人、或いは集会場(サロン)たらんことを期して編集された雑誌」とある。
「変態性欲」、とりわけ、サディズム(「縛り」)・マゾヒズムを中心にとする性風俗文化がテーマ。
ソドミア(男性同性愛)にも力を入れていた。また、レズビアニズム、女装愛好の記事もある。

【主な寄稿者】
秋吉巒(絵師)、伊藤晴雨(絵師・緊縛師・文筆家)、上田青柿郎(緊縛師・写真家)、鹿火屋一彦(文筆家・ソドミア研究)、須磨利之=喜多玲子=美濃村晃=高月大三(絵師・緊縛師・文筆家)、高橋鐵(性科学研究家)、中川彩子(絵師)、中野栄三(性風俗・性文学研究家)、 日夏由紀夫(作家)、松井籟子(作家)、八木静男(絵師)、龍胆寺雄(作家)など。

【備考】
1953年(昭和28)7月、『特集雑誌 オール実話』増刊号として創刊。
1953年(昭和28)12月、臨時増刊号として『秘蔵版 風俗草紙』(B5版)を刊行。
1954年(昭和29)の2月号、4月号が警察に摘発され発禁処分を受ける。

【若干の考察 -刊行期間と巻号について-】
(1) 昭和28年(1953)8月号には「1巻5号」とあり、これから月刊と仮定して逆算すると、昭和28年4月号が創刊号になると推測していた。
しかし、昭和28年(1953)7月号(奥付や背表紙には刊行月を示す数字がないので正確には7月相当号)の表紙には「特集雑誌 オール実話増刊」とある。
また、8月号の表紙には「特集雑誌 オール実話改題」とある。したがって、巻号記載は、前身の『特集雑誌 オール実話』を受けたものと思われる。
(2) 昭和28年(1953)7月号の奥付に「風俗草紙第一号をお送りします」とあるので、これが創刊号に相当する。
(3) 1954年2月号(2巻2号)の後、3月号が不発行。4月号(2巻3号)の奥付に「不測の事故で」「発行が遅れた」旨のお詫びがあり、「止むなく“三、四月合併号”と致します」とある。2月号が発禁処分になったためと思われる。
(4) 1954年4月号(2巻3号)と8月号(2巻6号)の間は、5月号、6月号が不発行で、7月号として『風俗草紙 臨時増刊 現代読本』を刊行している。
これも4月号が発禁処分になったためと思われる。2巻4号が欠番になっている?
(5) 1954年8月号は2巻8号になっている。編集後記には「永らくお待たせしました。不測の事故続出で、誠にご迷惑をお掛けしたことをお詫び申し上げます」とある。
(6) 1954年10月号(通巻17号)以降は確認できない。これが最終号か。
この号には、ほぼ常時掲載されている「そどみあ通信」「レスボス通信」「読者交歓室」がなく、終刊が予定されたものであったことが推測される。
(7) 通巻17号とされているが、1954年10月号掲載の「風俗草紙1年の歩み」によれば、実際に『風俗草紙』として刊行されたのは2冊の増刊号を入れて14冊と思われる。

【各冊のデータ】
1-1 『特集雑誌 オール実話』
1-2 『特集雑誌 オール実話』
1-3 『特集雑誌 オール実話』
1-4 『風俗草紙』1953年7月(相当)号(創刊号)   172頁 定価 100円
1-5 『風俗草紙』1953年8月号            176頁 定価 100円
1-6 『風俗草紙』1953年9月号            180頁 定価 100円
1-7 『風俗草紙』1953年10月号                定価 100円
1-8 『風俗草紙』1953年11月号            190頁 定価 100円
1-9 『風俗草紙』1953年12月号            192頁 定価 100円
 臨時増刊「秘蔵版 風俗草紙」(1953年12月) (B5版)334頁 定価 500円
2-1 『風俗草紙』1954年1月号            226頁 定価 120円
2-2 『風俗草紙』1954年2月号(通巻12号)      200頁 定価 100円
2-3 『風俗草紙』1954年4月号             275頁 定価 150円
 この間に、7月号として『風俗草紙 臨時増刊 現代読本』     定価 150円
2-8? 『風俗草紙』1954年8月号           176頁 定価 100円
2-7 『風俗草紙』1954年9月号(通巻16号)      194頁 定価 100円
2-8 『風俗草紙』1954年10月号(通巻17号)      196頁 定価   円

【表紙画像集(全14冊)】 (◎は所蔵)
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↑ ◎ 昭和28年(1953)7月号
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↑ ◎ 昭和28年(1953)8月号
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↑ ◎ 昭和28年(1953)9月号
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↑ ◎ 昭和28年(1953)10月号
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↑ ◎ 昭和28年(1953)11月号
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↑ ◎ 昭和28年(1953)12月号
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↑ ◎ 臨時増刊「秘蔵版」
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↑ ◎ 昭和29年(1954)1月号
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↑ ◎ 昭和29年(1954)2月号
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↑ ◎ 昭和29年(1954)4月号
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↑ ◎ 臨時増刊「現代読本」(7月号相当)
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↑ ◎ 昭和29年(1954)8月号
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↑ ◎ 昭和29年(1954)9月号
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↑ ◎ 昭和29年(1954)10月号

※ 2017年1月3日 修整加筆

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