2009年03月11日 昭和初年の東北の遊廓(その2:経営規模) [性社会史研究(遊廓)]
2009年03月11日 昭和初年の東北の遊廓(その2:経営規模)
3月11日(水)
東北の遊郭の経営規模について、質問がありましたので、1軒あたりの娼妓数(括弧の中の数値)を計算してみました。
資料は、例によって、上村行彰著『日本遊里史』(1929年)所収の「日本全国遊廓一覧」です。
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【県別:1軒あたりの娼妓数の順】
宮城県 14ヵ所 60軒 632人(10.53)
福島県 27ヵ所 115軒 651人(5.66)
山形県 25ヵ所 172軒 834人(4.85)
岩手県 18ヵ所 92軒 330人(3.59)
秋田県 10ヵ所 74軒 263人(3.55)
青森県 15ヵ所 147軒 460人(3.12)
【指定地別(娼妓数50人以上):1軒あたりの娼妓数の順】
1 宮城県仙台市小田原 32軒 271人(8.47)
2 山形県山形市(小姓町) 22軒 169人(7.68)
15 福島県信夫郡瀬上町 7軒 52人(7.43)
9 福島県北会津郡町北村 10軒 68人(6.80)
11 福島県福島市(一本杉) 10軒 61人(6.10)
13 秋田県秋田市保戸堂裏・鉄砲町(新地) 10軒 58人(5.80)
14 山形県米沢市 10軒 56人(5.60)
12 岩手県盛岡市八幡町 12軒 59人(4.92)
3 山形県西田川郡鶴岡町 29軒 134人(4.62)
10 福島県西白河郡白河町 14軒 63人(4.50)
5 青森県弘前市北横町 25軒 104人(4.16)
6 青森県青森市大字長島(吉原) 22軒 95人(4.32)
8 秋田県山本郡能代港町新柳町 18軒 71人(3.94)
4 山形県飽海郡酒田町 32軒 105人(3.28)
7 青森家三戸郡小中野村大字小中野(新地) 36軒 81人(2.25)
【比較参考】
東京府浅草区千束町(新吉原) 228軒 2362人(10.36)
東京府深川区洲崎弁天町(洲崎) 183軒 1937人(10.58)
東京府豊多摩郡内藤新宿町(新宿) 56軒 570人(10.18)
大阪府大阪市西区(松島) 275軒 3725人(13.55)
神奈川県横浜市永楽町 36軒 747人(20.75)
神奈川県横浜市真金町 42軒 754人(17.95)
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県別の数値から。
宮城県の1軒あたりの娼妓数(10.53人)が際立って多い。
2位の山形県のほぼ2倍、秋田県や青森県のほぼ3倍で、【比較参考】の東京の新吉原、洲崎、新宿遊廓とほぼ同じ値になっている。
仮に1軒あたりの娼妓数≒娼家の経営規模と考えれば(注)、同じ東北地方でも相当な格差があり、宮城県だけは東京並みということになる。
個別の数値では、単純に娼妓数で並べたランキングと同じく、宮城県仙台市の小田原遊廓が8.47人でトップ、2位も山形県山形市小姓町で変わりはない。
しかし、3~5位に福島県の遊廓が下位から上がってきている。
全般的に、南東北の遊郭の方が、北東北に比べて、1軒あたりの娼妓数が多い≒娼家の経営規模が大きい傾向があるように見える。
ちなみに、【比較参考】に挙げておいた東京の遊廓は、江戸時代以来の老舗の新吉原、明治期成立の洲崎、そして新興の新宿も、ほぼ同じ数値(1軒あたり10人強)になっている。
日本最大の遊廓である大阪の松島遊廓では、1軒あたり13~14人となる。
また、1軒あたりの娼妓数が多いのは、神奈川県横浜市の遊廓で、永楽町は1軒あたり20人を越え、あくまでも平均値だが、新吉原のほぼ2倍で、経営規模の大きな店が揃っていたことがうかがえる。
(注)娼妓と芸妓が混在している色街で、しかも芸妓が中心になっている場所では、1軒あたりの娼妓数≒経営規模という法則は成り立たない。
たとえば、京都市下京区の祇園甲部では、408軒に対して娼妓数86人で、1軒あたりの娼妓数は0.21人に過ぎない。
3月11日(水)
東北の遊郭の経営規模について、質問がありましたので、1軒あたりの娼妓数(括弧の中の数値)を計算してみました。
資料は、例によって、上村行彰著『日本遊里史』(1929年)所収の「日本全国遊廓一覧」です。
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【県別:1軒あたりの娼妓数の順】
宮城県 14ヵ所 60軒 632人(10.53)
福島県 27ヵ所 115軒 651人(5.66)
山形県 25ヵ所 172軒 834人(4.85)
岩手県 18ヵ所 92軒 330人(3.59)
秋田県 10ヵ所 74軒 263人(3.55)
青森県 15ヵ所 147軒 460人(3.12)
【指定地別(娼妓数50人以上):1軒あたりの娼妓数の順】
1 宮城県仙台市小田原 32軒 271人(8.47)
2 山形県山形市(小姓町) 22軒 169人(7.68)
15 福島県信夫郡瀬上町 7軒 52人(7.43)
9 福島県北会津郡町北村 10軒 68人(6.80)
11 福島県福島市(一本杉) 10軒 61人(6.10)
13 秋田県秋田市保戸堂裏・鉄砲町(新地) 10軒 58人(5.80)
14 山形県米沢市 10軒 56人(5.60)
12 岩手県盛岡市八幡町 12軒 59人(4.92)
3 山形県西田川郡鶴岡町 29軒 134人(4.62)
10 福島県西白河郡白河町 14軒 63人(4.50)
5 青森県弘前市北横町 25軒 104人(4.16)
6 青森県青森市大字長島(吉原) 22軒 95人(4.32)
8 秋田県山本郡能代港町新柳町 18軒 71人(3.94)
4 山形県飽海郡酒田町 32軒 105人(3.28)
7 青森家三戸郡小中野村大字小中野(新地) 36軒 81人(2.25)
【比較参考】
東京府浅草区千束町(新吉原) 228軒 2362人(10.36)
東京府深川区洲崎弁天町(洲崎) 183軒 1937人(10.58)
東京府豊多摩郡内藤新宿町(新宿) 56軒 570人(10.18)
大阪府大阪市西区(松島) 275軒 3725人(13.55)
神奈川県横浜市永楽町 36軒 747人(20.75)
神奈川県横浜市真金町 42軒 754人(17.95)
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県別の数値から。
宮城県の1軒あたりの娼妓数(10.53人)が際立って多い。
2位の山形県のほぼ2倍、秋田県や青森県のほぼ3倍で、【比較参考】の東京の新吉原、洲崎、新宿遊廓とほぼ同じ値になっている。
仮に1軒あたりの娼妓数≒娼家の経営規模と考えれば(注)、同じ東北地方でも相当な格差があり、宮城県だけは東京並みということになる。
個別の数値では、単純に娼妓数で並べたランキングと同じく、宮城県仙台市の小田原遊廓が8.47人でトップ、2位も山形県山形市小姓町で変わりはない。
しかし、3~5位に福島県の遊廓が下位から上がってきている。
全般的に、南東北の遊郭の方が、北東北に比べて、1軒あたりの娼妓数が多い≒娼家の経営規模が大きい傾向があるように見える。
ちなみに、【比較参考】に挙げておいた東京の遊廓は、江戸時代以来の老舗の新吉原、明治期成立の洲崎、そして新興の新宿も、ほぼ同じ数値(1軒あたり10人強)になっている。
日本最大の遊廓である大阪の松島遊廓では、1軒あたり13~14人となる。
また、1軒あたりの娼妓数が多いのは、神奈川県横浜市の遊廓で、永楽町は1軒あたり20人を越え、あくまでも平均値だが、新吉原のほぼ2倍で、経営規模の大きな店が揃っていたことがうかがえる。
(注)娼妓と芸妓が混在している色街で、しかも芸妓が中心になっている場所では、1軒あたりの娼妓数≒経営規模という法則は成り立たない。
たとえば、京都市下京区の祇園甲部では、408軒に対して娼妓数86人で、1軒あたりの娼妓数は0.21人に過ぎない。
2012-09-23 02:26
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