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2012年05月25日 『眞相實話』について [性社会史研究(性風俗雑誌)]

2012年05月25日 『眞相實話』について

『眞相實話』は昭和24年(1949)5月創刊で、出版社は東京千代田区富士見町の「眞相實話社」。

B5版薄手が主流だった「カストリ雑誌」に対して、半分のハンディなB6版で、頁数は150~160頁とかなり厚みがある。
定価は別冊共で60円。

表紙に「特ダネ実話雑誌」と銘打っているように、取材力を売りに、それまで盛行していた「猟奇雑誌」「曝露雑誌」とは一線を画そうとしていた。
表紙も他誌に比べると地味だが、でも、やっぱり内容はエロ・グロ中心。

1950年代に主流になる「実話系雑誌」の先駆の雑誌だが、いつまで刊行されたか不明。
ネット上では、昭和26年(1951)1月号(3巻1号)が確認できる(後日入手)。

手元には、創刊号を含めて3冊ある。
真相実話1-1(1949).JPG
↑ 『眞相實話』昭和24年(1949)5月創刊号(1巻1号)
真相実話1-2(1949).JPG
↑ 『眞相實話』昭和24年(1949)6月号(1巻2号)
真相実話1-5(1949).JPG
↑ 『眞相實話』昭和24年(1949)9月号(1巻5号)

残念ながらいずれも付録は失われている。

同性愛、女装・男装関係の記事としては、次のようなものがある。

(1)平野斗史「軍服の男娼たち」(1巻1号 1949年5月)
(2)大和田清志「男娼を裸にする」(1巻2号 1949年6月)
(3)恩田一郎「国鉄の闘士として更生した半男半女の数奇な秘話」(1巻5号 1949年9月)

(1)は、軍人出身のノガミ(上野)女装男娼に取材した記事で、当時かなりの衝撃を与えた。
日本陸軍(支那派遣軍)における同性愛行為の現実を知る上で貴重な文献。

(2)は、女装男娼の生態レポート。同種の記事の中では信頼度が高い。
ちなみに、当時のノガミの女装男娼のお値段(ショート)は200円。

(3)は、半陰陽の男性として生まれ(戸籍は女性)女性として育ち、成人後、男装して「男装の美人サギ師」として知られ、女性として服役して同房の女性と恋愛騒動を起こし、出獄後、男性として国鉄職員になった(ああ、ややこしい)中村稲子=稲男に取材した記事。

前にも書いたが、日本が連合国に占領されていた期間のうち1945年9月から1949年にかけて国内で刊行された出版物は、GHQ戦史局長だったゴードン・ウィリアム・プランゲ(Gordon William Prange 1910~1980)が検閲のため連合国軍総司令部に提出された出版物を一括してアメリカに送っている。

それがメリーランド大学図書館に「プランゲ文庫」として収蔵されていて、そのマイクロ・フィッシュ化された複製が国立国会図書館や国際日本文化研究センター(京都)に入っていてるので、ほとんどの雑誌を閲覧することができる。

いちばん閲覧が難しいのが、プランゲ・コレクション以後の1950年代に出版された雑誌で、とくに1950年代前半は一括して閲覧できる場所はなく、1冊ずつ集めて行くしかない。

【追記(6月1日)】
昭和26年(1951)1月号(3巻1号)を入手した。
真相実話3-1(1951).JPG
↑ 表紙のイメージが激変している。

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